声でわかる病気

UPDATE:2004.06.09

声に変化を起こす病気

 私たち耳鼻科医は、患者さんを前にして声を聞くと、ある程度声帯の状態を、推測することができます。
たとえば声に変化を起こす病気としては、声帯の炎症、声の使いすぎによる声帯結節、声帯ポリープ、声帯にできる腫瘍、声帯の麻痺、声帯がやせてしまうような状態、ホルモンの変化による声の、異常などがあります。

 もちろん声を聞いただけで、ズバリと診断できるわけではないのですが、ある程度推測が、つくということです。
そのあとで、反射鏡や、内視鏡を使って、実際に声帯の状態をみることができます。
最近ではこれをテレビに映したり、写真にとって患者さんと一緒に、観察しながら説明ができるようになってきました。

声帯結節

  昔から知られている声帯の、病気で代表的なものは、声帯結節です。
よく、声帯にできるタコとも、表現されています。
その名前も時代の流れを反映して、以前は能狂言の謡曲を、やっている人に多く見られたことから、謡人結節といわれていました。
最近ではカラオケポリープと、いわれることもあります。

 この病気は声をよく使う教師、保母、営業職のひとなどによく見られます。
声を使いすぎた状態が続くと、声帯に負担がかかって、のどが重くなるとか急に声が裏返るなどの、症状がでてきます。
そうなると声が出にくいため、よけいに声帯を、強く緊張させるので、さらに声帯に、負担が、かかるという悪循環になってしまいます。
しばらく声を休ませると、ある程度回復するのですが、また声を使うと、繰り返して声がかれてきてしまいます。

 治療としては、のどの吸入や、消炎剤を使うのですが、基本的には、声を出さないことが重要です。
実際には、なかなかそうはいかないため、のどに負担が、かかってきたら休ませることや、腹式呼吸を、おこなってできるだけ、のどにかかる負担を軽くするように指導しています。
どうしても日常生活に支障が及ぶ場合は、手術が必要になることもあります。

喉頭癌

 悪性腫瘍も時として、声の変化でわかることがあります。
おそらく名前は聞いたことがあるかと思いますが、喉頭癌がその代表的なものです。
ほんの数ミリの大きさでも声がかれるため、比較的早期に見つかりやすい、腫瘍なのですけれども、残念ながら大阪や東京近郊のような都市部に比べると、この十勝では進行した状態で見つかる傾向があります。

 喉頭癌は、喫煙の影響が強いため現在のところ90%は男性です。
しかし、最近は女性の、喫煙率が高くなっているので、今後は女性の割合が、高くなるのではないかといわれています。
早期のうちであれば、ほとんどが放射線治療で直るのですが、進行してしまった場合は手術によって、声を失わなくてはならない場合もあります。

その他の病気

 そのほかには、肺の腫瘍や、甲状腺の腫瘍の、ために、声帯を動かす神経が麻痺してしまうことがあります。
声がれで耳鼻科を、受診してきて声帯が、麻痺していたため、詳しく調べてみたところ、初めてその存在がわかる場合もあるのです。

 もちろん一番多いのは、風邪の炎症が声帯におよんで、声がかれてしまうことですが、ヘビースモーカーの方、声を多く使う方など、声がれが一~二週間たってもよくならない場合は、一度みてもらうことをおすすめします。

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